新旅館業法・特区民泊・住宅宿泊事業法(民泊新法):行政法規ノート

宿泊施設は、以前は、旅館業の営業許可のみでした。2017年、新旅館業法が成立し、特区民泊・住宅宿泊事業法(民泊新法)と3本出揃いました。それらの解説を主に綴る。

新旅館業法の無許可営業に関する立入調査

旅館業法の改正案の柱の一つが、無許可営業に関する立入調査などの規制の強化である。第7条第二項を新設している。

 

第七条第二項

都道府県知事は、旅館業が営まれている施設において次条第三項の規定による命令をすべきか否かを調査する必要があると認めるときは、当該旅館業を営む者(営業者を除く。)その他の関係者から必要な報告を求め、又は当該職員に、旅館業の施設に立ち入り、その構造設備若しくはこれに関する書類を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。

 

これを丁寧に読む。

 

「旅館業が営まれている施設」とあり、これは、許可の有無を問わない。

「命令」を出すかどうかの調査の必要がある場合、「旅館業を営む者(営業者を除 く。)」と「その他の関係者」に対して、「報告」、「立入」、「書類の検査」、「質問」ができると定めている。

 

旧旅館業法では、「営業者その他の関係者」に対してしか、規定されておらず、無許可営業の調査が明確に定められていなかった。

 

保健所側から見ると、この新設された条文を根拠に、無許可営業の宿泊施設に対して、報告や立入を求めてることが、明確にできるようになった。

 

「次条第三項の規定による命令」は、

都道府県知事は、この法律の規定に違反して旅館業が営まれている場合であつて、当該旅館業が営まれることによる公衆衛生上の重大な危害の発生若しくは拡大又は著しく善良の風俗を害する行為の助長若しくは誘発を防止するため緊急に措置をとる必要があると認めるときは、当該旅館業を営む者(営業者を除く。)に対し、当該旅館業の停止その他公衆衛生上又は善良の風俗の保持上必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

この条文も、新旅館業法の新設である。

 

「この法律の規定に違反して旅館業が営まれている場合」なので、無許可の営業も当然に含まれる。

さらに、「衆衛生上の重大な危害の発生や拡大」、「著しく善良の風俗を害する行為の助長や誘発を防止」のために、緊急に対応が必要なときは、「旅館業の停止」や「その他公衆衛生上又は善良の風俗の保持上必要な措置」をするように、命ずることができる。と、旅館業の停止命令が出せることが規定された。

 

大まかな流れは、「新旅館業法の違反があるようだ」→「停止命令などを出そうか、検討したい」→「そのための調査などをおこなう」→「調査などを踏まえた検討」→「停止命令などを出す」となる。

 

無許可で旅館業を営む者に対して、明確に中止命令が規定されました。

 

これに対する罰則も新設されています。第十一条第三項

第七条の二第二項又は第三項の規定による命令に違反した者

罰金も引き上げられ、50万円以下の罰金となっている。

 

この無許可営業に関する規制強化の新設条文は、今更の感もあります。

もともと昭和23(1948)年にできた法律で、昭和30年代に数回の改正を経て、旧旅館業法の形が整えられた。その後、大きな改正を経ることなく、現在まで使われてきた。

ここに、業界と社会背景が潜んでいると思われる。